現代日本の場合、たいていの場合飼いイヌの行動圏は飼い主次第で、敷地内で飼っている場合はもちろん、散歩の範囲もある程度は固定です。

長距離を移動するイメージを持ちづらい彼らですが、どうやら野生のイヌ科動物は相当な健脚のようです。自然界では、彼らはどの程度移動して暮らしているのでしょうか。

ディンゴ、野生化したイヌ

イエイヌの祖先に最も近いともいわれるのが、オーストラリアに棲むディンゴたちです。人類に連れられて移入したことは間違いないようですが、その正確な時期はわかっていません。

彼らにも天敵はいますが、やはり捕食する側。獲物を求めて、オーストラリア全土を移動して回るといいます。冬季には沿岸部、また繁殖のためには内陸部へとかなりの長距離を移動し、そのルートはある程度決まっているようです。

犬 移動距離

ハイイロオオカミ、獲物を追う距離も長大

オオカミの群れの縄張りは広く、ふつうのものでも100平方kmから500平方km、大きなものでは1000平方kmにも及びます。また、最大で1300平方kmもの行動圏がアラスカで記録されているそうです。

広大な縄張りですが、この中で彼らは1日平均10kmから20kmほどの距離を移動し、獲物を探します。また、行動圏ばかりではなく、一度の狩りにおける移動距離も目を見張るものがあります。

彼らの狩りは「追跡型」、つまり獲物を根気強く追いかけ続け、相手が疲労しきったところを仕留めるというものです。

獲物を見つけるまでだけでも数kmから200kmを移動し、さらに追跡が始まってから平均33kmもの距離をターゲットに張り付いて走り続けるといいます。

タヌキ、狭めで十分

変わったところで、タヌキのご紹介を。立派なイヌ科の動物です。タヌキの生活圏は広くて0.5平方km程度です。前に挙げた健脚なイヌの仲間たちにあって、野生でもあまり動き回りません。

というのも、彼らは雑食性で、ミミズや昆虫、ネズミ、樹の根から果実まで幅広くエサにするため、長距離獲物を捜索・追跡する必要もなく、近場で十分だからです。

それどころか、寒冷地では真冬の数ヵ月間を巣穴に籠って過ごすこともあります。イヌ科としては珍しい習性です。彼らも大変でしょうが、どちらかというとのんびりしたインドア派だといえるかもしれません。

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まとめ

砂漠の中、遠く離れた居住地を定期的に巡るディンゴ。一度のハンティングだけでも数10kmを駆けるハイイロオオカミ。何でも食べることで遠出せずに済ませているタヌキ。一部ながら、バリエーションあるイヌ科動物の生活圏をご紹介しました。

参考: 今泉忠明, 『野生イヌの百科』, データハウス, 1993.

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