ライオンはプライドと呼ばれる集団で暮らし、大型のネコ科動物としては珍しく一定の居住地を持ちます。彼らがサバンナで気だるげに休んでいる写真をご覧になったことがある方も多いのではないでしょうか。

ジャングルをさまようトラやジャガーに比べると、一ヵ所でのんびりしているイメージもあるかもしれません。しかし、ずっとじっとしているのかというとそんなことはなく、実はかなりの距離を移動しながらの生活であるようです。

プライドの範囲と分布の様子

プライドの範囲には幅があり、20平方km未満のものから2000平方kmを超えるものまで記録されています。また、空間的にはそれぞれのプライドの範囲は重複していますが、複数のプライドが同時に同じ場所を使うことはまずありません。

そして当然、獲物の確保は死活問題です。すると、このプライド自体、時には獲物を求めて、時には他のプライドを避けるために、複雑な軌道で毎日のように移動していくことになります。

ライオン 移動距離

中規模の地域では

中央アフリカ・セレンゲティ国立公園では、30平方kmから400平方kmの範囲を持つプライドが、1日平均5kmほど、最大では14.5kmを移動したことが観察されています。移動の際は、次の休息地に移ることも、前日の場所に戻ることもあるようです。それほどの距離ではありませんが、居座っているという印象とは少し違って見えるかもしれません。

大規模の地域では

獲物の乏しい砂漠地域では、プライドはさらに大きく日々の位置を変えます。南アフリカ・カラハリ南部のプライドは、狩りのために4日間かけて120kmにおよぶ経路の「巡回」をこなすといいます。

また、プライドの移動距離としては8日間連続で1日平均約22km、個体としては1晩で41kmも移動した例があるそうです。ライオンの歩行速度は時速3kmから4kmといわれていますから、ほとんど一晩中歩き通しだったことになりますね。

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まとめ

基本的には近くに獲物が豊富なうちは何日も一ヵ所に留まりたがるライオン。しかし、獲物だけでなく他のプライドのことも気にしながら、日々の居場所を変えているんですね。複数のプライドが入り混じる、地域全体のダイナミズムを感じます。

参考:
George B. Schaller, “The Serengeti lion; a study of predator – prey relations”, University of Chicago Press, 2009.
Jacobus du P. Bothma, “Carnivore Ecology in Arid Lands”, Springer Science & Business Media, 2013.

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